領域概要

本領域の目的

真核生物の細胞内に存在するオルガネラは、各々が高度に専門化された役割を分担しています。イメージング技術などの急速な発展により、オルガネラ動態を精密に観察できるようになりましたが、その結果、⑴1つのオルガネラの中に、異なる機能を担う複数の領域がダイナミックに形成されること、⑵オルガネラ機能の多くは、これらの領域における素反応の集積として発揮されること、が明らかにされつつあります。本領域では、このようなオルガネラの限局された機能領域を「ゾーン」と命名し、従来のオルガネラ研究をオルガネラ・ゾーン研究へと深化させることを目指します。具体的には、個々のオルガネラ・ゾーンでの素反応やゾーン間の相互作用を明らかにすることによって、オルガネラの機能や役割をより深く、より正しく知ると共に、様々な細胞現象や生体応答をオルガネラ・ゾーンから読み解きます。

 

本領域の内容

本領域では、各オルガネラ内部に形成される「応答ゾーン」「連携ゾーン」「選別輸送ゾーン」の3種類のオルガネラ・ゾーンを解析します。 

「応答ゾーン」:種々の細胞ストレスに対するオルガネラ応答は、これまでオルガネラ全体での反応として解析されてきました。しかしながら、実際には、オルガネラ上のごく限局された場での反応であることが見出されつつあります。例えば、アポトーシス実行に必要なミトコンドリア膜の透過性亢進現象は、これまでミトコンドリア全体で行われているものと考えられてきましたが、実際にはミトコンドリア膜の一部での反応であることが明らかにされつつあります。本領域では、ミトコンドリアや小胞体、ゴルジ体膜上でのストレス応答の実態を、「応答ゾーン」の解析により明らかにします。具体的には、「応答ゾーン」構成分子の同定、形成機構や生物学的役割の解明を行います。

「連携ゾーン」:これまでオルガネラ研究の多くは、個々のオルガネラを解析することで進められてきました。しかしながら、実際の細胞の振る舞いを観察すると、個々のオルガネラの理解だけでは説明できない現象が数多く見られ、異なるオルガネラ同士の有機的連携が鍵を握っているものと考えられます。例えば、脂質代謝においては、ミトコンドリア-小胞体間の脂質分子輸送の必要性が明らかにされています。また、異なるオルガネラの膜接触領域を起点として各々のオルガネラからは独立した新たな機能が生み出される例なども報告されています。「連携ゾーン」は、オルガネラ膜の一部が時空間的にダイナミックに変容して形成される場であると考えられ、これを解析することにより、オルガネラ連携の分子実態、形成機構、生物学的役割を明らかにしていきます。

「選別輸送ゾーン」:これまで、蛋白質の修飾と選別輸送は、小胞体から、cis, medial, transとゴルジ体を経由する間に糖鎖などの修飾が付与され、トランスゴルジネットワーク(TGN)で輸送先が決定されると漠然と考えられてきました。ところが、最近になって、小胞体やゴルジ体の中に、特定の機能を有する領域が槽を跨いで存在し、その領域を経由することによって、タンパク質は適切な場所に選別輸送されるという革新的な知見が見いだされつつあります。即ち、個々の分子は、これらの選別輸送ゾーンを経由することによって、適切な場所に運搬されるものと考えられます。例えば、糖鎖修飾を付与する場として「糖鎖修飾ゾーン」などの存在が、明らかにされつつあります。本領域では、「選別輸送ゾーン」形成分子の同定、形成機構の解明、各ゾーンの生物学的役割の解明を行います。 

さらに、様々な細胞機能の発現においては複数のオルガネラ・ゾーンが有機的に関わっていることが予想されます。そこで、これらの細胞機能において、各オルガネラ・ゾーンがどのように有機的に連携しているかを明らかにし、これらの連携が破綻して生じる生体制御の異常あるいは病態形成機序を解明していきます。これらの研究を通して、オルガネラ機能/動態の本質的な理解を目指していきます。

 

構成員

総括班

研究代表者 清水重臣 東京医科歯科大学
研究分担者 齊藤達哉 徳島大学
  新井洋由 東京大学
  後藤聡 立教大学
  花田賢太郎 国立感染症研究所
  今泉和則 広島大学
  中野明彦 東京大学
  森和俊 京都大学
  原田彰宏 大阪大学
  加藤薫 産業技術総合研究所
  黒川量雄 理化学研究所
連携研究者 吉田秀郎 兵庫県立大学
  西頭英起 宮崎大学
  片桐豊雅 徳島大学
  森田英嗣 弘前大学
  田村康 山形大学
  下嶋美恵 東京工業大学
評価者 河野憲二 奈良先端科学技術大学院大学
  松田道行 京都大学
  三浦正幸 東京大学
  藤木幸夫 九州大学
  伊東信 九州大学

 

計画研究

A01-1 研究代表者 清水重臣 東京医科歯科大学
  研究分担者 吉田秀郎 兵庫県立大学
    田村康 山形大学
    細谷孝充 東京医科歯科大学
    矢木宏和 名古屋市立大学
       
A01-2 研究代表者 齊藤達哉 徳島大学
  研究分担者 森田英嗣 弘前大学
       
A01-3 研究代表者 今泉和則 広島大学
  研究分担者 金子雅幸 広島大学
       
A01-4 研究代表者 花田賢太郎 国立感染症研究所
  研究分担者 下嶋美恵 東京工業大学
    加藤薫 産業技術総合研究所
       
A01-5 研究代表者 新井洋由 東京大学
  研究分担者 向井康治朗 東京大学
       
A02-1 研究代表者 森和俊 京都大学
  研究分担者 片桐豊雅 徳島大学
    西頭英起 宮崎大学
    名黒功 東京大学
    尾野雅哉 国立がん研究センター
       
A02-2 研究代表者 中野明彦 東京大学
  研究分担者 黒川量雄 理化学研究所
       
A02-3 研究代表者 後藤聡 立教大学
  研究分担者 石川裕之 千葉大学
    金川基 神戸大学
       
A02-4 研究代表者 原田彰宏 大阪大学
  研究分担者 木下タロウ 大阪大学
    西野美都子 大阪大学